以前、北海道の道東にある阿寒湖畔に家族旅行で行った際に、とんでもなく面白いクラフトビールを見つけてしまった。その名も「ブラッスリー・ノット」。なんと、廃校になった小学校の体育館を改装して作られたクラフトビール醸造所なのだ。
「廃校×クラフトビール」という組み合わせだけでも十分ユニークなのに、実際にビールを飲んでみたら、これがまた予想以上に素晴らしかった。今回は、このブラッスリー・ノットについて、正直にレポートしてみたいと思う。
そもそも鶴居村ってどこ?タンチョウが飛ぶ、自然豊かな村
ブラッスリー・ノットがあるのは、北海道の鶴居村。釧路市から車で50分ほどの、人口2,500人ほどの小さな村だ。正直、北海道に詳しくない人にとっては「どこそれ?」という感じかもしれない。
でも、自然好きやバードウォッチャーなら聞いたことがあるはず。というのも、鶴居村はタンチョウの聖地として知られている場所なのだ。冬になると300羽近くのタンチョウが飛来し、雪原で優雅に舞う姿は圧巻らしい。(私が訪れたのは夏だったので、残念ながらタンチョウには会えなかったが…)
村の南側には日本最大の湿原・釧路湿原が広がっていて、とにかく自然が豊か。冬はマイナス30度近くまで冷え込むという、ザ・北海道な環境だ。
最近ではメガソーラーの違法建築のニュースでも話題になっている。
個人的にはメガソーラー設置には反対である。
廃校の体育館が醸造所に!? 驚きの再利用プロジェクト
ブラッスリー・ノットは、茂雪裡(もゆきしり)という地区にある。カーナビを頼りに向かったのだが、途中の道は本当に「これ、合ってる?」と不安になるレベルの田舎道。そして到着した先は…確かに小学校っぽい建物!
建物に入ると、そこはもう立派な醸造所。でも、高い天井や広々とした空間を見ると、「ああ、ここ体育館だったんだな」と納得する。実際、ここは2022年11月にオープンしたばかりの、比較的新しいブルワリーだ。
創業者の植竹博文さんは、埼玉の有名ブルワリー「COEDO」出身の本格派醸造家。富良野など各地でブルワリーの立ち上げに関わってきた経験があり、最終的にこの道東の廃校を選んだのだという。
正直、「なんでこんな辺鄙な場所に?」と思わなくもないが、それこそが彼の狙いだったらしい。道東にはまだクラフトビールの文化があまり根付いていない。だからこそ、ここに新しい文化を作りたい—そんな想いがあったようだ。
「Knot(結び目)」に込められた意味
「ブラッスリー・ノット」の「Knot(ノット)」は、「結び目」という意味。ビールを通じて、人と人、人と地域、人と自然を繋いでいく—そんなコンセプトが込められているという。
確かに、実際に訪れてみると、単なるビール工場じゃないんだな、という雰囲気を感じた。併設されたショップのスタッフさんも気さくで、ビールについて色々と教えてくれる。「ここは地域のコミュニティスペースでもあるんです」という言葉が印象的だった。
ちなみに、醸造で出たビール粕は地元の酪農家に飼料として提供しているらしい。鶴居村は酪農が盛んな地域なので、こういう地域循環型の取り組みは素晴らしいと思う。
実際に飲んでみた!5種類の定番ビールをレビュー
さて、肝心のビールについて。ブラッスリー・ノットには5種類の定番ビールがあり、それぞれ「花鳥風月」をテーマにしているという。実際に全種類試してみたので、率直な感想をシェアしたい。
実際に買ってみてほしい点は、ビジュアル。ジャケット。これがめちゃめちゃかっこよくて可愛い。
通常はラベルまでなんだけど、缶にもこだわりの紋様があって、これだけでもコレクションしたくなるくらい。
FLOWER(ベルジャン・ウィット)- 初心者にもおすすめ
最初に飲んだのがこのFLOWER。ベルジャン・ウィットというスタイルで、濁りがあって見た目も可愛い。
飲んでみると、柑橘系の爽やかな香りがふわっと広がる。コリアンダーとオレンジピールが使われているらしく、苦味はほとんどない。ビールが苦手な人でも飲みやすいと思う。夏の暑い日に、キンキンに冷やして飲みたい一杯。
BIRD(ペールエール)- スッキリ爽快系
2杯目はBIRD。アメリカンスタイルのペールエールで、こちらもかなり飲みやすい。
柑橘系のホップの香りが心地よく、後味がスッキリしているので、食事と一緒に飲むのにぴったり。個人的には、このBIRDが一番「日常的に飲みたい」と思った。クセがなくて、誰にでもおすすめできる味だ。
WIND(IPA)- ホップ好きならこれ!
3杯目はWIND。いわゆるウエストコーストスタイルのIPAで、ホップの香りと苦味がしっかり感じられる。
正直、IPA好きじゃない人にはちょっと苦すぎるかもしれない。でも、ホップのフローラルな香りとキレのある苦味のバランスが絶妙で、IPA好きなら「これこれ!」ってなると思う。私はかなり気に入った。
MOON(ダブルIPA)- アルコール度数高めの本格派
4杯目はMOON。アルコール度数8%以上という、ガツンと来るダブルIPA。
トロピカルフルーツのような華やかな香りと、しっかりした苦味。度数が高いので、ゆっくり味わいながら飲むのがおすすめ。夜にゆっくり一杯だけ、じっくり楽しみたいタイプのビールだ。
DOTO(ベルジャンIPA)- 道東限定の特別な一杯
最後はDOTO。「道東」という名前の通り、この地域を表現したビールだという。
ヨーロッパ産ホップとアメリカ産ホップをブレンドしていて、ハーブっぽい香りと柑橘系の香りが混ざり合う、なんとも複雑な味わい。それでいて飲みやすいから不思議だ。しかも、このDOTOは道東でしか買えない限定品。これは来た甲斐があったというものだ。
季節限定ビールも要チェック!
定番の5種類以外にも、季節限定のビールがいくつかある。
HAOTO(ハニーエール)、GINRIN(セッションIPA)などめちゃめちゃ美味しいので定番商品にしてほしい。
こういう冒険的なビールを作っているところも、ブラッスリー・ノットの面白いところだと思う。
価格は?どこで買える?
ブラッスリー・ノットのビールは、360ml缶で810円〜。クラフトビールとしては、まあ妥当な価格帯だと思う。
購入方法はいくつかある:
- 現地の直売所で買う(これが一番おすすめ!試飲もできる)
- 公式オンラインストアで買う
- ふるさと納税の返礼品として貰う(鶴居村を応援できる)
- 釧路市内や札幌の一部店舗で買う
道東でしか買えないDOTOを除けば、オンラインでも購入できるので、気になる人はチェックしてみてほしい。
鶴居村は観光や温泉も楽しめる場所
ブラッスリー・ノット目当てで行ったものの、鶴居村自体が意外と面白い場所だった。
まず、冬(11月〜3月)にはタンチョウの給餌場で300羽もの群れが見られるらしい。早朝の音羽橋では、川霧の中に浮かぶタンチョウの幻想的な姿が見られるとか。これは冬にリベンジしたい。
それから、村内には日帰り温泉ができる施設が3つあって、ブルワリー訪問後に温泉でゆっくりするのもいいかも。釧路湿原も近いので、自然散策と組み合わせれば、1日しっかり楽しめる。
正直な感想:わざわざ行く価値はある?
結論から言うと、ビール好きなら絶対行くべきだと思う。
まず、ビールの質が高い。どれも丁寧に作られていて、「あ、これ本格的だな」と感じる味。特に、道東限定のDOTOは現地でしか買えないので、それだけでも行く価値がある。
それから、廃校を再利用した醸造所という空間自体が面白い。普通の工場とは違う、どこか懐かしくて温かい雰囲気がある。スタッフさんも気さくで、ビールについて熱く語ってくれるのも楽しい。
ただし、正直に言うと、めちゃくちゃ遠い。釧路市街からでも車で50分かかるし、周りは本当に何もない田舎道。レンタカーがないと厳しいと思う。
でも、だからこそいいんだと思う。わざわざ辺鄙な場所まで足を運んで、その土地のビールを飲む。それがクラフトビールの醍醐味じゃないだろうか。
まとめ:道東に行くなら、ぜひ立ち寄ってほしい
ブラッスリー・ノットは、ただのブルワリーじゃない。廃校を蘇らせ、地域と繋がり、道東という土地の個性を表現している—そんな場所だった。
5種類の定番ビールはどれもレベルが高く、特に道東限定のDOTOは一度飲んでみる価値がある。季節限定の冒険的なビールも面白いので、訪れる時期によって違う味が楽しめるのも魅力だ。
釧路や阿寒湖、摩周湖など、道東を旅行する予定がある人は、ぜひルートに組み込んでみてほしい。タンチョウを見に冬に訪れるのもいいし、夏の緑豊かな景色の中でビールを飲むのもまた格別だ。
「結び目(Knot)」という名前の通り、このブルワリーは訪れる人と道東を繋いでくれる。あなたもぜひ、自分だけの「結び目」を見つけに行ってみてはどうだろうか。
Brasserie Knot(ブラッスリー・ノット)詳細
住所: 北海道阿寒郡鶴居村茂雪裡69-8
営業時間: 12:00〜15:00(土日祝 11:00〜16:00)
定休日: 不定休
アクセス: JR釧路駅・釧路空港より車で約50分
公式サイト: https://brasserieknot.jp/
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