愛媛県西条市に2023年誕生したマイクロブルワリー「GROUNDTAP BREWERY」が、クラフトビール愛好家の間で話題となっている。設立からわずか2年ほどで国際的な賞を受賞するなど、急速に存在感を示している同ブルワリーの魅力に迫る。
名水の恵みを活かした醸造環境
西条市は「平成の名水百選」にも選ばれた石槌山系「うちぬき」と呼ばれる豊富な地下水で知られる地域だ。GROUNDTAP BREWERYは、この良質な地下水を醸造に活用することで、ビールの品質向上に努めている。
運営を担うのは、タンク・配管を専門とする株式会社ダイテック。同社が培ってきた技術力を、クラフトビール製造に応用している点が特徴的だ。
醸造所とビアバーが一体化した施設
同ブルワリーでは、醸造設備を間近に見ながらビールを楽しめる「TAP ROOM」(ビアバー)を併設。さらに、テイクアウトやギフト用の瓶ビールを扱う「PREP ROOM」(ボトルショップ)も設けられており、訪問者は様々な形でビールを楽しむことができる。
多彩なラインナップと地域素材へのこだわり
GROUNDTAP BREWERYの商品ラインナップは幅広い。クラシック、ラガー、レッド、フォニオエールといった定番ビールに加え、地元素材を活かした「ISLAND SERIES」を展開。あさなぎレモンウィットやゆなみオレンジIPAなど、地域の特産品を取り入れた個性的なビールが人気を博している。
さらに、毎月「LIMITED BEER」として限定ビールをリリース。「TARUMONJI #4」や「FRESH HOP LAGER」など、季節感あふれる商品が登場している。
注目の限定ビール「KUMAZASA」
限定ビールの中でも特に注目を集めているのが「KUMAZASA」(クマザサ)だ。このビールはホッピーラガースタイルで、アルコール度数5.5%。
ネルソン・ソーヴィンとシムコーという2種類のホップを使用し、白葡萄のようなニュアンスの奥行きある香りが特徴となっている。
「KUMAZASA」は、過去にリリースされた「YANAGI」のリニューアルバージョンとして開発され、よりラガーらしいキレを追求した仕上がり。無濾過・非加熱製法により、ホップの風味を最大限に引き出しながらも、軽い飲み口で爽快感を感じられる一杯だ。
カナダ製造の麦芽を使用し、石鎚山系の熊笹が描かれたラベルデザインは地域とのつながりを感じさせる。370ml缶で890円(税込)前後で販売されており、GROUNDTAP BREWERYが掲げる「クリアで飲み疲れない味わい」というコンセプトを体現している。白ワインのようなフルーティーな香りを持ちながら、ラガー特有のキレがあるため、クラフトビール初心者から愛好家まで幅広く楽しめる商品となっている。
ただし、限定醸造のため販売終了している可能性や、価格が変動する場合もあるので、購入を検討する際は事前に確認することをおすすめする。
国内外で高い評価を獲得
設立間もないブルワリーながら、その品質は国内外で認められている。World Beer Awards 2025ではゴールドとシルバーを受賞したほか、国内コンテストでも定番商品2種類がシルバーを獲得。さらに、JBC 2025では「TARUMONJI」が5位にランクインするなど、着実に実績を積み重ねている。
地域との結びつきを大切に
同ブルワリーのウェブサイトにある「COLUMN」セクションでは、地元の話題やフードペアリングに関する記事を掲載。「レーベルストーリーKODANBE缶」や「焼鳥たきちとのペアリング」など、地域とのつながりを大切にする姿勢が感じられる内容となっている。
また、元ディレクター兼デザイナーの山根大樹氏が故郷である西条市に戻り、クラフトビール製造に携わっている点も興味深い。地元出身者が地域資源を活かしてビジネスを展開する好例と言えるだろう。
愛媛県を訪れる機会があれば、西条の名水で醸造されたGROUNDTAP BREWERYのクラフトビールを味わってみてはいかがだろうか。
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